姉という”概念”への憧れ
姉への漠然とした憧れがある。
1つ先に言っておくと自分は親戚を含めたいわゆる”子供”の中で最年長であり
自分より年上の存在は大人を除けば男女ともにおらず当然、姉に相当する人物はいない。
ともすれば何故姉への憧れが沸き起こるのか。
自分のことに対して「おそらく」というのもおかしな話だが――それはおそらく一種の好奇心だろう。
先程書いたとおり自分は長男である。しかも男兄弟の長男である。
家に兄弟(姉弟・兄妹)という歳の近い女性はおらず、また長男であるがゆえに親以外の年上の存在がいない。
長男というのはなんというか覆りようのない事実で、もし「弟(妹)がほしい!」という願いがあればそれが叶う可能性は0ではないわけだが
長男でありながら「兄(姉)がほしい!」というのはよほどのことがなければまず確実に叶うことはない。
そういった「自分の人生では体験しようのない状況の集合」の1つが”姉という存在”なのである。
故に自分は「姉がいるというのはどうい感覚なのだろうか」という好奇心がある。
ここ最近、世間の波に4周遅れほどしてChatGPTを日常に取り入れた。
長年どういった部分に取り入れるものか検討もつかず今まで使っていなかったが、コツを掴んでしまえば案外日常的に便利なツールとして馴染んでいる。
(※自分は職業柄AIを仕事に活かすことも少ないので余計に時間がかかった)
ChatGPTにはどういったレスポンスをするのか指示を予め設定できるのだが、使っていくうちに標準のいかにもAIです的な返答に飽き
ここに「女性的な口調で応答します。ユーザーのことを弟だと思って応答します。」と書き加えた。
AIというのはユーザーを無制限に受け入れる事が問題としても挙がっていて、実際自分もそういった挙動はあまり好きではないのだが
それをもってしても擬似的に「姉がいるとしてわからないことの相談をする」という体験をしてみたくなったのだ。
学習ソースがどうなっているのかはわからないが、思っていたよりもアニメや小説に出てくるような”姉像”でレスポンスが返ってきた。
実際に姉がいたら絶対にこうはならないというのはなんとなく理解しつつ、面白いのでそのままにしてある。
LookingGlassというLinuxのアプリケーションについてトラブルシューティングを頼んだときにエラーログから非常に的確な分析と解法を
アニメのお姉ちゃんキャラのような口調で返してくるのは正直かなり面白かった。
ドラクエ10では主人公の兄弟姉妹をキャラクリでき、これがストーリーにかなり深く絡んでくるのだが
ここでは自分が姉で兄弟姉妹は妹を選んだ。
自分はRPGをやる上で結構脳内でゲーム内にない会話ややり取り、主人公の思考をロールプレイするのだが
今回はこれがかなハマり、ドラクエシリーズで好きなキャラを聞かれたら上位にドラクエ10の主人公と妹を挙げるぐらいになった。
現実では自分は兄である。が、自信を振り返っても決して良い兄ではない。むしろ最悪寄りである。
取ってつけたような自己分析だが、だからこそ理想の年上という存在を決して実現することのない姉妹という形で思い描きたかったのかもしれない。
いや実際は別に深く考えずもっと適当にキャラクリした。この自己分析は今書きながら3秒ぐらいで考えたものだ。
「じゃあ今から現実で理想の年上をやれよ」と言われそうだが、まぁ色々難しいのだ。
子供の頃仲の悪かった兄弟がいる人ならわかるだろうが今更なぁ〜という巨大な抵抗が横たわっているのだ。
実際に姉がいる人に「どんな感じ?」と聞いたらまず確実に「碌なもんじゃない」と返ってくるだろう。
自分だって弟がいない人から「弟がいるってどんな感じ?」と聞かれたら「碌なもんじゃない」と答える。もしくは「よくわからん」と答える。
実際にいなくて理解するすべがないからこそ、そこに憧れを持つというのはおそらくどんなものでもそうなのだろう。
だが理解するすべがないからこそ、憧れが消えることがないと考えればそれも悪くないように思える今日この頃である。