君は有料検索エンジン”kagi”を知っているか
kagiという検索エンジンを知っているだろうか?
3月頃にImageCastというポッドキャストで知ったのだが、
自分はいまこのサービスを日々仕事でもプライベートでも使い、なおかつ熱烈に応援している。
ウェブを人間味のあるものにし、よりアクセスしやすく、倫理的で、個人のニーズを中心に据えること
をミッションに掲げるkagi inc.によって運営されているサービスで世にも珍しい月額有料の検索エンジンである。
https://help.kagi.com/kagi/company/index.html
その特徴は検索結果から広告やゴミページ(所謂「いかがでしたでしょうか」で締めくくれられる記事やCEOのための無意味なジャンクページ)を取り除き
ユーザーが求める検索結果を表示することに注力していることだ。
検索結果をユーザー自身が望む形に近づける機能は非常に充実していて、
Wikipediaのサマリーや動画、画像の一覧、インラインニュースといったウィジェットはすべてON/OFFが自由
ユーザーが任意のドメインに対して表示優先度を変えたり全く表示させなくすることも可能
Lensという指定したサイトやドメイン、ファイルタイプからの検索結果に絞り込む機能や
検索結果からページにアクセスする際にURLの一部を置換する設定を行えるリダイレクトという機能まである。
これらは今までもブラウザの拡張機能などに頼ることで実現できなくもなかったが
それ故に環境が変わると設定し直す必要があったり、複数の環境で設定を同期するのが面倒だったが
kagiであれば自分のアカウントにログインするだけで共通した設定で検索することができる。
AIの流れにも抜かりなく乗っていて
クイックアンサーという検索結果を元にAIが複数のページからユーザーが求めているであろう回答を要約してくれる機能や
Assistantという各種LLMにkagiを連携させてやりとりをできる機能まである。
まさにユーザーのことを第一に考えたいたれりつくせりのサービスで
正直これだけでも十分にお金を払う価値はあると思う。
値段は検索回数無制限が10ドル、Assistantで多くのLLMモデルを使用できる最上位プランは25ドルだ。
5ドルで月300回まで検索できるプランもあるが、よほど検索エンジンを日常的に使用しない人でない限り
残り回数を気にしながら使用するのは精神的にもあまり良くないと思うのでおすすめしない。
ちなみに現在や月ごとの検索回数やAIの使用回数を見ることもできるので
一旦10ドルで契約してしばらくの間回数が300を下回りAssistantもさほど使用しないのであれば5ドルのプランに変えても良いかもしれない。
さて、自分はkagiの最上位プランに月25ドルを支払っている。
これはAssitantを活用しまくっているからではなく(色々活用したいのだがアイデアがない…)
純粋にkagiの理念や行動に同意してているからだ。10ドルの検索回数無制限に加えて15ドル寄付している気持ちで払っている。
kagiは直接明言してないがGoogleを始めとするサービスのメタクソ化とその原因に対抗している(と自分は思っている)
https://help-kagi-com.kagiproxy.com/kagi/why-kagi/why-pay-for-search.html
このページを翻訳してでも読んでみてほしい(kagiは翻訳サービスも展開していてkagi Translateは素晴らしいのでよければ使ってみてほしい)
ここで前半に書かれていることはまさにGoogleのメタクソ化についてのことで
もはやGoogleは無料で検索エンジンを利用するユーザーのことを見ていない。むしろ(時間を浪費させて)広告に目を通させあわよくば広告リンクを踏み
あらゆる行動や注意を広告主や自社プロダクトに還元するための素材としか思っていない。
広告収入に頼った無料サービスは確かにWEBを発展させたが、それはもう役目を終えていると自分は思う。
メタクソ化はそれがわかりやすい形で表に出た現象だ。
もしメタクソ化について詳しく知りたければこのあたりを読んでみてほしい。
メタクソ化するTiktok:プラットフォームが生まれ、成長し、支配し、滅びるまで
メタクソ化:Amazon、TikTokはなぜ劣化するのか
これに対抗するべくkagiが取ったのがあたりまえでシンプルな方法だ。
つまり、ユーザーはkagiにお金を払う。kagiはユーザーのためにプロダクトを作る。
更にkagiはデラウェア州公益法人(PBC)である。
これは会社の取締役および役員が、単に株主価値を最大化することを超えた目的を考慮することが明確に許可されているというもので
今までの企業やサービスのように成長の限界に達した時、それを無理やり超えるためにメタクソ化に走ることを抑止している。
https://blog.kagi.com/what-is-next-for-kagi#4
こんなにも今のWEBを憂いて未来のWEBのために行動を起こしている企業・団体を自分はあまり多く知らない。
kagiの考えやビジネスモデルは是非とも広まってほしい。そのためにはビジネス的な成功が必要で
それが自分が最上位プランを契約している理由である。
現在のWEBは多くの人の生活と密着しているにも関わらず多くの問題がある。
それらを一気に解決する方法はないが、一つ一つを良くしていくことでそれらが繋がりより良いWEBになることに賭けるしかない。
kagiの理念やビジネスモデルはそのうちの一つの要素だと自分は思っていて、
少しでもこのサービスが、理念が世の中に広まりまたそれによって良い連鎖反応が起きてほしいと願っている。